「先輩」「後輩」って重要?(日本語版)
こんにちは。Nです。
まずこれから使う言葉の説明をしておきます。
同僚=co-worker;colleague
先輩=senior co-worker
後輩=junior co-worker
さて、生徒と英語で話すとき、よくこういったことを言う「My senior co-worker recommended a new Indian restaurant.」(「私の先輩が新しいインド料理屋さんを勧めてくれました。」)
英語ネイティブとして、この文章は少し変に感じます。
どうして「先輩」が勧めてくれたことをわざわざ指摘するのでしょう?その同僚があなたよりさきに入社したことが重要ですか?
あまりそうは思いません。「後輩」でも同じことができると思いますが。
他の文章を見ましょうか?「先輩」か「後輩」の代わりに、同僚の特徴を表す別の表現を入れてみます。
- My tall co-worker loves chocolate. (私の背の高い同僚はチョコが大好きです。)
- My mushroom-loving co-worker gave me some advice on my golf swing. (私のキノコ好きの同僚はゴルフスウィングのアドバイスをしてくれました。)
- My bald co-worker has a pet rabbit. (私の禿げている同僚はウサギを飼っています。)
- My hairy co-worker asked me for directions to the specialty tea shop. (私の毛深い同僚はお茶専門店への道を聞きました。)
- My muscular co-worker gave a presentation at the conference. (私の筋肉モリモリの同僚はコンファレンスでプレゼンをしました。)
- My creative co-worker helped me move some heavy boxes. (私の独創的な同僚は重い箱を移動するのを手伝ってくれた。)
- My nearsighted co-worker let me borrow his acoustic guitar. (私の近眼の同僚はアコギを貸してくれました。)
- My organized co-worker came down with the flu. (私のまめな同僚はインフルエンザにかかってしまいました。)
上記の例を見て少しでも僕が言っていることが分かってきましたか?「先輩」であろうが「後輩」であろうが、全然内容と関係がないですよね。
「先輩」か「後輩」を聞いて変な感じがするのは文化の違いだと思います。アジアの文化は基本的に年齢にもっと強調します。(ここでは「年齢」というのは「社歴・学年」という意味も含めます。)年上の人は年下の人より身分が上です。アジアの言語はどなたに喋っているかによって、話し方はまるで変わることもあります。
西洋文化は年齢がそこまで重要ではないです。例えばアメリカの文化はもちろん、年上の人(特に老人)を尊重するのが良いことだと思われていますが、アジアの国々ほどではないです。アメリカ人はその人の「性格」、「能力」、「ふるまい」などを重視してその人の社会においての価値を決める傾向があります。配慮するものの中で「年齢」というのは一番重要視されない部分です。
英語では「先輩」と「後輩」を表す言葉がないです。言い方として「junior・senior co-worker」や「junior・senior colleague」という説明しかありません。けれども、これらを使うと話がぎくしゃくで変に聞こえます。「先輩・後輩」を問わず、同僚のことを「co-worker」か「colleague」と言った方が自然です。
面白いですよね?この2つの日常的な言葉が日本文化と西洋文化の重要な側面を表します。こういった特徴を見つけることには言語学の面白さ・魅力・価値があると僕は思います。